エンバーミングって、どうなの?

こんにちは。神奈川県相模原市の葬儀社・神奈川福祉葬祭(葬儀のかなふく)の鈴木隆です。
みなさん、「エンバーミング」という言葉、聞いたことありますか?
近年、テレビやインターネットでも取り上げられるようになってきたので、ご存じの方も多いかもしれません。
「遺体を美しく保存する技術」なんて紹介されることが多いですね。
でも、実際のところ、どういう場面で必要なのか? やることにデメリットはないのか?
金額はどれくらいかかるのか? 気になりますよね
今日は、そんな「エンバーミングってどうなの?」という素朴な疑問に、現場の葬儀屋としてお応えしてみたいと思います。
エンバーミングとは?
エンバーミングとは、ご遺体の腐敗を防ぐために、血液を抜き、防腐剤を体内に注入する処置のことです。
日本ではまだ馴染みが薄いですが、欧米、特にアメリカでは、一般的に普及していると言われています。
日本でも、近年は「亡くなってから葬儀まで日数がかかる」ケースが増えたこともあり、少しずつ導入されるようになってきました。
エンバーミングがオススメな方
では、どんなときにエンバーミングが役立つのか、いくつか例を挙げてみましょう。
生前のお姿のまま葬儀をしたい方
亡くなられてから日にちが経つと、どうしてもお顔の状態が変化していきます。エンバーミングは、その変化を抑えて、生前に近いお姿でお別れする助けになります。
ご遺体の損傷が激しい場合
事故や病気などで、お顔やお体に傷がある場合、復顔・復元処置を行うことで、安らかな表情を取り戻すことができます。
海外へご遺体を空輸する必要がある場合
飛行機でご遺体を輸送する際には、衛生面・防腐処置の証明が必要とされる国もあります。そうしたケースでは、エンバーミングが必要条件となることがあります。
社葬や大規模葬儀などで日程調整に時間がかかる場合
葬儀までの日数が大きく空いてしまう場合には、ドライアイスだけでは対応が難しいこともあり、エンバーミングが適しているケースもあります。
エンバーミングの懸念点
とはいえ、かなふく鈴木は、エンバーミング慎重論者です。あまり語られないエンバーミングの懸念点について考えてみたいと思います。
ご遺体にメスを入れることへの抵抗感
エンバーミングは、体にメスを入れ、全身の血液を抜いて薬剤を注入する「大手術」です。
ご遺族の中には「亡くなった人に、そこまでするのか…」と感じる方もいらっしゃいます。
とくに「自然のままを大切にしたい」という気持ちの強い方にとっては、心理的な抵抗があるかもしれません。
高額な費用の負担
エンバーミングの一般的な費用相場は20万円ほどです。
さらに、エンバーミング処置を受ける専門施設への搬送や、処置後の安置費用なども加算されるため、総額で25万円〜30万円になるケースもあります。
2週間までであればご遺体を保全できる
これは葬儀屋さんによって意見が分かれるところかもしれませんが、かなふく鈴木は、葬儀までの日数が2週間程度までであれば…
・ドライアイスの交換
・冷蔵保管安置
・ラストメイク(死化粧)
…によって、充分に故人さまのお身体を保全できるのではないかと考えます。
※もちろん、ご遺体は様々な状況のものがあるので、あくまで一般的な目安として…
でも、葬儀社によっては、オプション販売をしたいがために、大して必要のない状況でも、「エンバーミングが必要ですね」と、強引に勧めてくる葬儀社もあります。
これは注意が必要です

日本人とアメリカ人の発想の違い
このエンバーミングという技術に、ぼくは日米の「文化の違い」をとても強く感じます。
エンバーミング発祥のアメリカでは、「生きていたときと同じような姿で送りたい」という自分たちの願いが強く、それを形にしようと、遺体に積極的に手を加えることが当たり前のように行われます。
でも日本人は、仏教的な考え方もあってなのか、「命が変化していくこと」を受け入れる精神性があります。
生きていたものが息を引き取る。動かなくなったご遺体が少しずつ変色していく。こうした姿を見るのはとても辛いものです。
でも、その中でもドライアイスで身体を冷やして変化を遅らせ、その間に「ありがとう」と語りかけ、「もうすぐ天国へ旅立つんだね」と心の準備を整えていく。
そんな見送り方が、日本人の感覚にフィットしているように思うんです。
無理に変えようとしない。あるがままを受け入れて、そっと送る。この「そっと」が大事なんじゃないかなぁと思うわけです。
エンバーミングって、結局どうなの?
エンバーミングは素晴らしい技術だと思います。エンバーミングによって救われたと感じるご遺族もたくさんおられるかと思います。
でも、だからといって、すべてのケースで必要かというと、そうではありません。
エンバーミングは、文化的背景やご遺族の価値観、ご予算、葬儀の日程など、さまざまな条件を考慮して判断されるべきものです。
大切なのは、「ちゃんと説明してくれる葬儀社」と出会い、「自分で考えて決める」こと。
迷ったときには、どうぞお気軽にぼくたち神奈川福祉葬祭にご相談ください。
故人さま、ご家族、それぞれにとって最善の方法を、いっしょに考えていきましょう

神奈川福祉葬祭(葬儀のかなふく)
代表取締役 鈴木 隆
ご相談フリーダイヤル:0120‑82‑0333