香典袋の書き方、包み方、渡し方、香典辞退への対応などを分かりやすく解説

皆様こんにちは
神奈川福祉葬祭(葬儀のかなふく)の鈴木隆です。
ご葬儀のとき、意外と迷われる方が多いのが「香典袋のマナー」です。
「表書きはどうするの?」
「中袋には何を書くの?」
「香典はどうやって持っていけばいいの?」
そんなお悩みにお応えすべく、今回は香典袋の書き方・包み方・渡し方について、プロの葬儀屋さん目線で、わかりやすく解説していきます。
少しでも安心してご参列いただける参考になれば幸いです。
〇香典袋と表書き
まずは、香典袋を用意します。白黒や双銀の水引がついた「不祝儀袋」が基本です
水引の上段には表書き(たとえば「御香典」「御霊前」など)、下段には差し出す人や団体の名前を記します。
表書きは、宗教や宗派によって若干の違いがありますが、迷った時は「御香典」か「御霊前」と書いておけば間違いはありません。
以下、ケース別に見ていきましょう。
■仏式の場合
宗派を問わず「御香典」が無難です。仏教のお葬式では「お香」を使いますからね。
また「御霊前」も広く使われますが、浄土真宗の場合は「霊」の概念がなく、「御仏前」が適しています。
■神式の場合
「御霊前」「御神前」「御玉串料」などが用いられます。
神道では、亡くなった人の「御霊」が「神様」のもとに還ると考えられており、葬儀の中で「玉串」(榊に白い紙をつけたもの)を用いるために、このような文言が用いられます。
■キリスト教の場合
「御霊前」や「献花料」などが一般的です。
キリスト教では、白い花で献花をして、弔意を表すからです。
〇お香典は薄墨で書く?
通常、祝儀袋や不祝儀袋は黒い筆で書きますが、お香典に限っては薄墨(少し淡いグレーの筆)で書くのがマナーの基本です。
なぜ薄墨なのか?
このしきたりには、故人さまやご遺族さまへのいたわりの想いがこめられているんですね。
「悲しみの涙で墨が滲んでしまった」
「早く駆けつけるため、墨を充分に擦れなかった」
…そんな意味合いが込められているんです。
ただし、お坊さんに差し出すお布施袋は薄墨ではなく、普通の濃い墨で書きます。お坊さんに不幸があったわけではないですからね。
ちなみに、薄墨と濃い墨の区切りは四十九日だと考えられています。
最近は家族葬が多く、葬儀が終わったあとから訃報を聞いたというケースも増えています。もし、四十九日よりも手前に自宅に弔問したり、お香典を贈る際も、薄墨で表書きを書きましょう。

〇お香典の包み方
お香典袋には紙幣を納めますが、その入れ方について解説します。
■表裏と向き
人物が描かれている面を封筒の裏側に、そして下側にします。
通常は、人物が描かれている面を表側に、それを上側にしますが、葬儀の場合はこれを、表裏、天地、ともに逆にすると覚えればよいです。
■中袋と数字の書き方
中袋がある場合は、表面に【金額】、裏面に【差出人の住所・氏名・電話番号】を記載しておくと、後日ご遺族が整理される際にとても助かります。
ちなみに、香典で書く金額の数字は旧漢字を用います。
1=壱、2=弐、3=参、5=伍、10=拾、千=仟、万=萬、円=圓…といった具合です。
たとえば、「金一万円也」は「金壱萬圓也」となります。
〇袱紗について
香典袋は、そのままバッグに入れて持っていくのではなく、袱紗(ふくさ)に包んで持参するのがマナーです。
特に男性の方は、胸ポケットにそのまま香典袋を納める姿をよく見かけますが、袱紗に入れて持参した方がスマートですよ。
袱紗には「慶事用」と「弔事用」があり、葬儀の場合は弔事用の寒色系(紫・グレー・紺など)を選びましょう。
「紫」は慶弔の両方に使えるので、ひとつ持っておくと便利です。
〇香典の渡し方
葬儀会場に到着すると、受付がありますので、そこで記帳を済ませてから香典をお渡しします。
記帳後、お盆が置かれている場合はそこに香典を置き、「このたびは大変ご愁傷さまでございます」などのお悔やみの言葉を添えて差し出しましょう。
お盆がない場合は、袱紗をお盆代わりにして差し出すと丁寧です。
最近は家族葬が増え、受付を設けないケースもあります。その場合は、タイミングを見て喪主さまに直接お悔やみを述べ、香典を手渡すとよいでしょう。

〇香典辞退の考え方と対応方法
最近では、故人さまや喪主さまのご意向により、お香典そのものを辞退するケースが少なくありません。
その場合、その意向に従うのがマナーです。無理にお香典をお渡しするのは避けましょう。
けれど、実際の葬儀の現場ではそうもいかないのが実情です。訃報を聞いた側としては、やはりお香典という形で想いを伝えたいと考える人が少なくありません。
どうしてもという方は、喪主さまにその想いをきちんとお伝えすることをおすすめします。
また、次のようなものを添えることで、お香典は受け取らなくても、品物だけ受け取ってもらえるということもあるでしょう。
■フラワーアレンジメント
故人さまのお供え花として、華やかさとともに心を届けられます。アレンジメントなら後片付けの手間もかかりません。
■進物用のお線香
葬儀後も、お仏壇やお花へのお供えとして使っていただけます。高級感のある進物用線香がよく選ばれています。
■菓子類
和菓子や日持ちのする焼き菓子など。お参りに来られた方々と分け合っていただけます。
こうした形なら、喪主さまのご負担にもなりにくく、自然な弔意として伝わるのではないでしょうか。
〇おわりに
香典とは、単なるお金のやりとりではなく、想いを相手に届ける大切な贈答文化です。
だからこそ、正しいマナーを理解しつつ、心からの想いを込めてお包みしたいものです。
葬儀の場面はどうしても緊張するものですが、こうしたポイントを押さえておけば、きっと自信を持って参列できます
もしも香典に関してさらに不安なことがありましたら、どうぞ遠慮なくかなふくにご相談ください。
