かなふくな日々ブログ

NEW 社長のブログ 2025.12.07

グリーフに苦しむ人へ、グリーフケアをしたいと考えている方へ

グリーフに苦しむ人へ、グリーフケアをしたいと考えている方へ

こんにちは。神奈川県相模原市の葬儀社、神奈川福祉葬祭(葬儀のかなふく)の鈴木隆です。

 

長くお客様のご対応をしていると、「あぁ、人はこんなにも深く悲しむ、苦しんでしまうのか」と胸を締めつけられるような場面に、何度も出会います。

 

大切な人を失うという出来事は、生きているぼくたちの心を大きく揺さぶり、世界を一変させます。

 

でも、悲しみは本当に人それぞれ。声にならない悲しみもあれば、言葉で表しきれない痛みもあります。

 

今日は「グリーフケア」というテーマで、グリーフに苦しみ人へ、グリーフケアをしたいと考えている方へ、かなふく鈴木からメッセージをお贈りしたいと思います。

 

■辛い日々を過ごす、かなふくのお客様たち

大切な人の死はさまざまです。

 

いつ息を引き取るか分からず、介護や看護を続けた先にやっと訪れる死、事件のように突然やってきて心の中にぽっかりと穴を空けていく死。

 

いずれにせよ、最愛の人との別れは辛く、その人のいない世界を生きていくのは、とても苦しいものがあります。かなふくで出会ってきたお客様の中にも、そのような方はたくさんおられました。

 

・お母様を亡くし、心が空っぽになった女性

「もう、どうやって生きていったらいいのか分からないんです」

そう言って涙を流していた40代の女性。いつもやさしく支えてくれたお母様が急に亡くなり、心の支えを失ってしまったのです。

朝起きるたびに「今日一日どうやって過ごそう」と途方に暮れる。気づくと涙がこぼれている。そんな日々が続いたと話してくれました。

 

・ご飯を食べたくても、喉を通らない

「お腹は空くのに、食べ物が喉を通らない」。

悲しみは食欲を奪います。食べたいのに食べられない自分にまたショックを受け、自己否定が強くなる――そんな悪循環に苦しむ方もいます。

 

・だれにも会いたくない。でも会社には行かなきゃ

「心が弱っているのに、会社では明るく笑わなきゃいけないんです」

周囲に迷惑をかけまいと頑張りすぎてしまう方も多いです。

人と話すだけで心が擦り減るのに、「普通にしているフリ」を続けなければならない――これほどしんどいことはありません。

 

・家族を支えなきゃ。でも自分だって本当は泣きたい

若い息子さんのご逝去に、ひどく落ち込む奥様と娘さん。一家の大黒柱として、喪主として、家族を支えるためにずっと気丈に振る舞っていました。

葬儀が終わり、四十九日の納骨が終わったあと、張りつめていた糸が切れたように想いがあふれ出て、その持って行き場がないんだと、ぼくに電話をくださいました。

「ずっと我慢していたんです」

自分の悲しみを後回しにする人ほど、心の傷は深く残りがちです。

 

・体調がすぐれず、布団から起き上がれない

悲しみは心だけでなく、身体にも影響を与えます。

胃が痛む、眠れない、体が重い。そして、周囲から「怠けている」と思われてしまうのがもっとつらいんですよね。

でもこれは身体のSOS。悲しみが身体にあらわれるのは自然なことです。

 

こうしたお客様たちと向き合っていると、いつも感じます。

 

「悲しみの形は、人の数だけある」

 

そして…「どんな悲しみも、その人にとってはただの出来事ではなく、人生そのものを揺るがす体験である」ということを。

グリーフに苦しむ人へ、グリーフケアをしたいと考えている方へ

■グリーフとは?

「グリーフ」とは、喪失によって生じる「悲嘆」「深い悲しみ」のことです。

 

喪失は何も死別以外でもさまざまな場面で起こり得ます。

 

卒業によるクラスメイトとの別れ、進学や就職による子どもとの別れ、失恋による恋人の別れ、離婚によるパートナーとの別れなど、これらから生じる悲しみもまた、グリーフと言えます。

 

ただし、日本においてはし「グリーフ=死別の悲しみ」の意味で語られることが多いですね。

 

では、悲しみとは何か。それは単に「泣くこと」や「落ち込むこと」だけではなく、さまざまなフェーズ、症状があります。

 

・喪失による動揺

・怒りや後悔

・孤独

・無気力

・涙が出ないという悩み

・逆に涙が止まらない日々

・身体症状(頭痛・胃痛・倦怠感など)

 

こういった心身の反応すべてが「グリーフ」です。

 

大切な人の死に直面すると、人はこれらの波のような感情・症状を行き来します。そして、その往来をくり返しながら、少しずつ時間をかけて、故人さまの死を受け入れて、日常を取り戻していくとと言われています。

 

■グリーフケアとは?

「グリーフケア」とは、グリーフを抱える人を支えるすべての行為を指します。

 

いまでは社会的にもグリーフケアの重要性が理解されはじめ、専門資格を持った人たちもたくさんいます。

 

グリーフケアとは決して職業でもサービスでもなく、グリーフに悲しむ人への寄り添いそのもののことです。

 

ですから、「グリーフケアカウンセラー」の資格を持つ人は、医師、看護師、介護ヘルパー、僧侶、葬儀社、仏壇店、墓石店など、さまざまです。

 

そして、グリーフケアとは、ただ慰めることでも、アドバイスをすることでもありません。

 

・気持ちを押しつけない

・時間を急がせない

・解決を迫らない

・ただそばにいる

・必要なときだけ支える

 

こうした「寄り添い」の姿勢そのものが、グリーフケアです。

 

人によって、回復のスピードも、必要なケアもまったく違います。

 

グリーフケアとは、その人のペースを尊重すること。これに尽きるのだと思います。

 

なので「ケアしてあげよう」と思わずに、「いつの日か、自分の存在が相手のケアになればいいな」くらいで接する方がよいのかもしれませんね。

 

あなたのケアが、いますぐ効果として表れるとは限りません(それを期待される方が、逆に相手に気を遣わせることにもなりかねませんもんね)。

 

むしろ、5年後、10年後、「あの時、あなたがそばにいてくれ、本当に心強かったよ」ということばがもらえれば充分くらいに思う方が良いように思います。

グリーフに苦しむ人へ、グリーフケアをしたいと考えている方へ

■いまからすぐにできること

いままさに、死別の悲しみで苦しんでいる。

 

そんな状況に置かれている方のために、ここでは「ご本人向け」と「サポートする側向け」に分けて、すぐにできることをご紹介します。

 

◆ ご本人さま向け

 

グリーフに苦しんでいるあなたには、スマホ越しで、ブログという形で恐縮ですが、次のようなメッセージを贈らせてください。

 

① 悲しみを否定しないでね

 

「こんなに落ち込むなんてダメだ」

「もう立ち直らなきゃいけないのに」

そう思わなくて大丈夫です。

 

失った存在が大きいほど、悲しみも深くなって当然です。

 

② 眠れない・食べられないはおかしなことはない

 

食欲がなくなる、睡眠が乱れる――これはグリーフの自然反応だと言われています。

つまり、誰にでも起こりうることなんです。

 

だから、できる範囲で構わないので、自分自身をいたわってください。

 

③ 涙は心のデトックス

 

泣くことは、自然で健康的な反応です。

涙は、あなたの心が必死にバランスを取ろうとしている証拠です。

 

泣きたい時は泣いても大丈夫なんですよ。

 

④ 無理に元気に振る舞わない

 

「普通にしなきゃ」という義務感は、かえって心を傷つけます。

できない日は、できないままで良いのです。

 

⑤ 小さな行動でOK

 

散歩、家事の一つ、深呼吸、友だちへの電話。

ほんの少しだけ動くことが、思った以上に心を支えてくれます。

 

◆ ケアしたいと思っている方向け

 

大切な人がそばで苦しんでいるのを見るのは、とても辛く、何とかしてあげたいと思うものですよね。そんなあなたには、次のことばをお贈りします。

 

① アドバイスは控えめに

 

「がんばって」「時間が解決するよ」

こうした言葉は、相手の心に届かないこともあります。

まずは話を聴くこと。これが何よりのケアです。

 

② 「寄り添う」は“何もしないこと”に近い

 

問題を解決しようとしなくていいのです。

 

ただ黙ってそばにいて、相手の言葉を受け止める。時には一緒に泣いてもいいですし、馬鹿を言ったり、笑っても構いません。

 

相手と同じ場所にいて、同じ時間を過ごす。同じ場所にいなくても、電話やLINEでたまにつながる。

 

それだけで十分なケアになります。

 

③ 相手のペースに合わせる

 

悲しみには個人差があります。

急かさず、比較せず、相手の時間を尊重してください。

 

さきほども言いましたけど、いますぐ立ち直ってもらおうと思わずに、5年後、10年後くらいの、長い目で見守ってあげる感覚でよいと思います。

 

④ 必要なときだけ手を差し伸べる

 

相手から求められたときにだけ、少しだけ背中を押す。

こちらから無理に手を差し伸べなくても構いません。

グリーフに苦しむ人へ、グリーフケアをしたいと考えている方へ

■あなたは、あなたのままでいい 

ここまでいろいろお話ししましたが、一番伝えたいのはただひとつです。

 

あなたは、あなたのままでいい。

 

悲しみが深くてもいい。

何もできなくてもいい。

泣いてもいいし、泣けなくてもいい。

 

グリーフは「おかしなこと」ではありません。

誰にでも起こる、人間として自然な反応です。

 

そして、グリーフに悲しむ人に対して、

 

「どんな声をかければいいのか」

「何かしてあげたいけど何をしたらいいのか分からない」

 

…という気持ちになるのも、誰にだってあります。ぼくにだって。

 

悲しみを乗り越えるタイミングは、人それぞれ。あなたの悲しみはあなたのもの。誰かに決められるものではありません。

 

グリーフとは、亡き人とともにこれからの人生を生きるための重要なプロセスです。

 

そして、グリーフケアとは、亡き人の喪失を受け入れ、ともに生きていけるように見守ることなんです。

 

■おわりに

大切な人を失うことは、生きていく中で最も苦しい体験です。でも、人はその悲しみを抱えながら、それでも前に進んでいく力を持っています。そして、大きな悲しみや苦しみを乗り越えた時、人は大きく成長します。

 

どうか、焦らず、比べず、ゆっくりと日々をお過ごし下さい。

 

必要なときは、いつでもかなふくに頼ってください。

 

あなたの悲しみに寄り添える存在でありたいと思っています。

 

 

葬儀のかなふく(株式会社神奈川福祉葬祭)

代表取締役 鈴木隆 

 

PROFILE

神奈川県相模原市にある「日本一小さな葬儀屋さん|株式会社神奈川福祉葬祭(葬儀のかなふく)」の代表取締役社長。1971年東京都大田区生まれ。神奈川県相模原育ち。
小さい時から人になにかしてあげたがりで、喜んでもらえる顔を見るのが大好き。
◇趣味:読書
◇座右の銘:『我以外皆師』
◇好きな映画俳優:ブルース・リー 
◇特技:沖縄剛柔流空手初段
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