インターネットの「お香典の相場」は信じていいの?プロの葬儀屋さんが解説します

皆様こんにちは
神奈川福祉葬祭(葬儀のかなふく)の鈴木隆です。
ご葬儀のとき、よく相談されるのが「お香典はいくら包んだらいいですか?」ということ。
最近ではインターネットで検索して「相場」を調べる方も多いですよね。でも、実はネットの情報が正解とは限らないんです。
そういうぼくだって、インターネット上でこうやってブログを書いているわけですが(笑)、ここでは顔出し名前出しをしているわたくし鈴木隆が、プロの葬儀屋さん目線で、香典の相場や考え方について、踏み込んだお話をしてみたいと思います。
一般的な御香典の相場
まずは、いわゆる「一般的な相場」と言われている金額を整理してみましょう。
< 親族の場合>
- 両親:3万円~10万円
- 兄弟姉妹:3万円~5万円
- 祖父母:1万円~5万円
- 叔父・叔母:1万円~3万円
- いとこ:1万円~3万円
- その他の親戚:1万円~3万円
<親族以外の場合>
- 友人:5千円~1万円
- 知人:5千円~1万円
- 会社関係:5千円~1万円
- ご近所:3千円~1万円
これが、インターネットやマナー本などでもよく出てくる「相場」です。そんなに大外れはしておらず、この相場自体は何ら問題ないと思います。

香典は多すぎず、少なすぎず
「御香典は、多すぎず、少なすぎず」とよく言われます。
金額そのものに正解があるわけじゃないけれど、世間的に相場というものがある以上、それにある程度合わせておくのが、やっぱり無難です
なぜなら、香典というのは手渡す側の気持ちを表すものであると同時に、相手がどう受け取るかという側面もあるからです。
多すぎると、受け取った側はかえって恐縮してしまうし、場合によっては「どうお返ししたらいいんだろう」と困らせてしまいます。
逆に、少なすぎると「薄情なのかな」「あまりお付き合いがなかったのかな」と、無用な誤解を生んでしまうこともあります
このような不安や違和感を相手に与えない配慮が大切なのであって、結局のところ、お香典は「金額」ではなく「心遣い」をどう届けるか、ということに尽きるんです。
その意味で、相場を参考にしながら「多すぎず、少なすぎず」のちょうどよさを意識してお包みするのが、いちばん相手にとっても気持ちの良い贈り方だと、ぼくは思っています。
子や孫は、香典を出すの?
ところで、 家族葬が当たり前となった昨今、このような質問をよくいただきます。
「親の葬儀では、子どもは香典を出すものなのでしょうか?」
たとえば、2人兄弟の長男が喪主を務める場合、次男は長男に香典を渡すべきなのか。
これの答えはひとつじゃありません。兄弟の関係性や家族の話し合いによって、いろんなケースが考えられます。
長男が「大丈夫!お金のことは全部自分が工面するから、香典は受け取らないよ」と断る場合もあるでしょう。
また、冠婚葬祭の形式に則ってきちんと香典を包むケースもありますし、香典という形を通じて葬儀費用を兄弟で分担することもできます。
では、孫世代はどうでしょう?
たとえば長男の子や次男の子、つまり故人さまの孫にあたる立場の方は、喪主に香典を包むのか。こうした場合は、香典を包まないケースも多いように思います。
とくに家族葬の場合は、ごく近しい身内だけで執り行うので、そうした「アットホームなお別れ」の中では、香典のやりとり自体を控えることもしばしばあります。

相場からかけ離れたお香典エピソード
中には、相場からかけ離れた香典のやり取りもあるようです。
とあるお客様から、こんなお話をいただいたことがあります。
あるとき、40代でお亡くなりになった故人さまのご葬儀がありました。喪主を務められたのは、まだ20代の若い息子さんお二人。
葬儀を終えられたあと、喪主を務めたお兄さんからぼくにこんな電話がありました。
「鈴木さん。私の勤め先の社長からの香典を開けてみると、20万円も入っていたのですが、どんなお返しをしたらいいのでしょうか」
なんと20万円! 相場からはかなりかけ離れています。
でも、その喪主さまも、そしてぼくも、社長さんの心意気がすぐに伝わりました。
若くして親を亡くし、これからやってくる大変な日々。少しでもその助けになればという、そうした社長さんの想いが、その金額には込められていたのです。
後日、喪主さまは直接社長さんにお礼を伝え、お返しに困っていることを正直に伝えたそうです。すると社長さんは…
「お返しなんていらないよ。もしどうしてもと言うなら、そのお金で、お父さんが喜ぶものをお供えをしてあげてください」
…なんと素敵な心配りでしょうか。
また逆に、あるご葬儀では、生活に困っている方が、それでも「せめてこれだけでも…」と、3千円の香典を持参されたこともありました。
喪主さまは「無理しなくていいですよ」とお声をかけたのだそうですが、
「故人さまには大変お世話になりました。少ない額で恥ずかしいですが、これでお好きだったお菓子でも供えてあげてください」
…そんな言葉に、胸を打たれたとおっしゃっていました。
つまり、香典というのは「金額」よりも何より、「心」を目に見える形として表したものなんです。
相場に見合った金額を包むことで、喪主や遺族を安心してもらえますが、何よりも、そこに「想い」が込められているかどうかが、もっとも大事なことなんですね。

おわりに
インターネットの相場情報は、決して間違いじゃありませんので、ぜひとも参考にしてみてください。
でもそれだけに縛られる必要はありませんし、相場の意味を考えることで、あなたの想いはよりしっかりと喪主や遺族に届くことでしょう。
家族構成や関係性によって違う
故人との距離感や付き合い方でも違う
葬儀のスタイルでも違う
葬儀というのは、「こうすべき」とマニュアル通りにいかないものです。
だからこそ、 心を込めて、誠意を持って香典をお包みする。
その気持ちが伝われば、たとえ相場より多くても、少なくても、受け取った側には きっと温かく響くはずです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました
もしご不安なことがありましたら、いつでもかなふくにご相談ください。
葬儀のかなふく 株式会社神奈川福祉葬祭
代表取締役 鈴木 隆